最近(2020年1月)、日本のニュースでもオーストラリアの森林火災について見かける事も多くなりましたが、
オーストラリアでは、2019年の9月頃から史上最大規模の森林火災に襲われています。
日本では報道されるのが遅かったため、そんなに長く火災が続いている事を知らなかった人も多いと思いますが、
既にオーストラリアでは、1,800万ヘクタール以上の森林が燃え、コアラやカンガルーで有名な、オーストラリアの動物が12.5億匹以上も犠牲になっており、34人の人命が奪われました。
という事で今回は、そんなオーストラリアの森林火災について紹介します。
火災の現状 (2020/1/25現在)
現在発生している森林火災によって、
これまでにオーストラリア全土で1,800万ヘクタール以上の森林・低木帯が焼失しました。
人的被害としては、7人の消防士(アメリカ人から援助にきた3人)を含む34人の命が奪われ、3,000件以上の民家と、8,000件の商業用を含むその他の建物が破壊されています。
その内、最も被害の大きいのはNSW州で、25人が亡くなり、2,000件以上民家が被害に遭っています。
また、オーストラリアには、コアラやカンガルー、ワラビーやウォンバットなど、他の大陸では見られない、オーストラリア固有の動物が数多く存在していますが、環境保全団体のWWFによると、今季の火災により12.5億匹以上の動物が犠牲になったと推定されています。
18日には、オーストラリア東部各地で待望の雨が降り注ぎ、一部の火災が沈静化しましたが、オーストラリア南部や南東部では依然として山火事が猛威を振るっており、被害の大きいNSW州では未だに73か所で火災が続いています。
また、北東部のQLD(クイーンズランド)州では、オーストラリア史上最長級の干ばつに見舞われていた一方で、17日〜18日にかけては過去10年以上の降水量を上回る雨が降り、鉄砲水や洪水が発生しており、
また、首都キャンベラのあるACTでは20日、天気が一転して大きなヒョウが降り注ぎ、車の窓が割れるなどの大きな被害が出るなど、不安定な天気となっています。
今後も火災による大量の灰やすすが雨で流され、川や海に流れ込むことで、飲料水の供給や、カモノハシ等の沿岸の生態系へ重大な影響を与えられる事が予想されており、回復には時間がかかると言われています。
オーストラリアの山火事の原因について
実はオーストラリアでは、森林火災が起こる事自体は珍しくありません。
火災が起こる原因として1番に挙げられるのが、あの、コアラが大好物とする「ユーカリの葉」です。
ユーカリの木はそこら中に生えているものなのですが、ユーカリの葉はテルペンと呼ばれる引火性物質を放出しており、太陽の熱や落雷によって自然発火します。
また、ユーカリの木の樹皮も燃えやすく、森林や抵木帯でユーカリの葉が自然発火すると周りの木々に燃え広がり、森林火災が発生するのです。
面白いことに、ユーカリの種は熱にさらされた後に発芽するそうで、まさに火災有りきの生態を持っているんだとか。
また、火災によって起きた上昇気流により新たな雷雨が作られ、乾いた雷によって新たな火災が発生する、という2次的な火災も発生し、多くの火災を発生させています。
人為的な火災について
国土の18%が砂漠で覆われているオーストラリアは、雨が少なく乾燥しているため、一度火災が発生すると一気に燃え広がってしまいます。
オーストラリアの公共放送局ABCによるオーストラリアの警察や消防への調査の結果、
火災被害の大きいNSW(ニューサウスウェルズ)州で焼失した森林の内、人為的な原因によって焼失した面積は約1%で、
VIC(ビクトリア)州ではそれよりも低く、
QLD(クイーンズランド)州では約3%程度と、
火災のほとんどの原因が、落雷によって自然発火したものだそうです。
今季の火災が起きている間にも、放火や不注意により数人が逮捕・起訴されていますが、
人が起こした火災は基本的に、ゴミを燃やしたり、小さい範囲の芝生が燃えたりと、落雷による被害と比べると、非常に小さいものであるとのこと。
しかし、人為的に広げられた火災の被害も無視できず、大規模な被害が起きたケースもあります。
今季の火災で35,000ヘクタールが焼失したタスマニア州では、その内の21,000ヘクタールが人の起こした火災に起因するものだとされており、
タスマニア州はオーストラリア全土で唯一、人の起こした火災が、自然に起こった火災よりも大きな被害を起こした州となりました。
また、NSW州では、人為的に起こされた火災で51,000ヘクタールの森林が焼失し、44件の家屋が損壊しました。
QLD州の消防の話によると、
森林火災の6%は放火の疑いのあるもので、19%は自然発火、そして、全体の72%は原因が特定されていないとのことです。
その他の影響
大気汚染について
透き通る青い空と、強い日差しで有名なオーストラリアですが、
今年の夏は森林火災で4億トンもの二酸化炭素が大気中に放出されており、町には煙が立ち込め、空はオレンジ色になり、シドニーでは19本のタバコを吸うのと同じ程、大気が汚染されているようです。
呼吸器疾患で病院を訪れる患者は25%増加し、Macquarie University’s MQ Health の医者によると、
オーストラリアの人々は10年から15年程の長期的に、肺炎や呼吸器疾患、または心臓病に苦しめられることになるだろうと予想しています。
気温について
今季のオーストラリア(2019年)は、
1910年からオーストラリアで観測された中で最高に気温が高く、そして最も乾燥した年として記録されていました。
オーストラリアの気温は1950年に比べて約1.5℃上昇しており、世界でも温暖化の進行が速い国となっています。
また、森林火災は年々増加しており、高い気温と乾いた空気により、今季の火災被害が拡大したと考えられています。
火災が広がった後にも更に気温は上昇し、オーストラリア各地で最高気温を更新しました。
次のページでは募金ができるサイトを複数まとめています。
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